ネットの世界からこんにちは。むぎです。
関東は梅雨明けし、6月から異例の暑さを見せる中、いかがお過ごしでしょうか。夏に向けて、いろいろと準備をされている方も多いかと思いますが、家計を圧迫する課題として急激な円安が続いています。
コロナウィルスが収束する兆しを見せた中で、こういった事象が起こるのは非常に苦しいですね。またそういった中で、日本銀行が行った「家計は値上げを許容している」という発言が問題視されました。
本日はこちらの発言の内容を取り上げることで、どのような点が問題だったのか、私たち国民は今後どのような行動をしていけばよいのかということについて考えてみたいと思います。
「家計は値上げを許容している」発言について
まずは日銀総裁の具体的な発言について考えていきたいと思います。
ことの始まりは6月6日に行われたのは金融政策の考え方について講演中です。
日本銀行総裁の黒田東彦さんが「企業の価格設定スタンスが積極化している中で、家計の値上げ許容度が高まっている」という発言を行い、SNSなどで問題発言だと取り上げられたという経緯になります。
その後の国会の中で黒田総裁も適切な発言でなかったことを認め、発言を撤回しているようです。
ただ、国民感情としてはなかなか収まりがつかず大きく問題視されているということになります。
たしかに、急激なインフレに対する具体的な政策も行っていないように見える状況の中で、こういった発言を日銀総裁の口から聞くというのはなかなか厳しいものがあるなと筆者も感じています。
老後2000万円問題などの金融に関する複数の課題がある中で、物価上昇に伴う家計の費用に圧迫影響をうけている人は多いと思いますので、こういった発言はできるだけないようにしていただけると嬉しいなと一国民として思います。
次章ではこちらの発言に対して、筆者がどのように考えているのかをより具体的に触れていきたいと思います。
賃金の上昇を伴わないインフレ(スタグフレーション)は許容しないが、好循環なインフレが生まれることには期待する
筆者の結論としては、
インフレ自体は悪いことではないものの、現在起きているインフレは企業の賃金上昇を伴っていないため、有益な効果をもたらすとは考えにくい
と考えています。
蛇足になりますが、経済におけるインフレとは物の値段が上がりお金の価値が下がることを指します。
消費者目線で見るとデメリットしかないように感じますが、物の値段があがる→その物を提供している企業の売上があがる→企業が儲かり社員に還元されて給与があがる→給与がもらえるので物の消費が加速する、といった好循環なインフレに入ることができれば、私たちにとって大きなメリットになります。
ですが、2022年の現時点で起きているインフレはこういった好循環を生むのが難しい状況にあると筆者は思います。
というのも、今回のインフレは日本だけでなく全世界的に起きている事象であり、その背景には戦争に伴う物資やエネルギー供給の分断であったり、コロナ収束による需要の増加などの要因があると考えられます。
つまり、限られた資源を全世界的に取り合う自体になってしまい、物価があがっているということです。こういった状況では、仮に企業の売上があがっても商品を提供するための資源を追加で確保することが難しく、従業員に還元されて賃金が上がるというような好循環なインフレを作りだしにくいのではと考えています。。
インフレと似た言葉として、スタグフレーションという言葉もあり、
平たくいうと、スタグフレーションとは賃金の上昇を伴わずに物価だけが上昇することを指します。
つまり、2022年現在起きているインフレはスタグフレーションだと言えると思います。
こういった環境の中での物価上昇は家計を圧迫させ、消費者の購買意欲をなくすことにもつながります。
国の金融政策が関係しているのは否定できませんが、ウクライナ戦争が解決およびそれに伴う世界的に起きている資源不足が少しでも早く解決することを祈りたいと思います。
否定的な見方
ここからは日銀総裁の発言について具体的に考えていきたいと思います。
まず多くの人が件の発言を聞いて「そうじゃない」と感じたと思います。
筆者自身もそう思います。いつ私たちが物価上昇を許容するなどというスタンスを表したというのでしょうか。非常に疑問です。
そこでもう少し調べてみたところ、どうやらこの発言は東京大学の渡辺努教授の調査を参考にしたようです。調査の中で『なじみの店でなじみの商品の値段が10%上がったときにどうするか』という項目があり、『値上げを受け入れ、その店でそのまま買う』という回答が半数以上を占めるという結果があるそうです。
(筆者は具体的にこのアンケートを見ていないので詳細はわかりませんが)
たしかにこの結果を表面上で解釈すれと、「消費者は値上がりしても普段と同じ店で購入する」というように見えなくはないと思います。
同じ店で購入してくれるなら物価上昇は許容されているというロジックになり、あのような発言に繋がったと考えられます。
ただ、このロジックは前提となる部分が明らかになっていないので、非常にあいまいだとも思います。
たとえば、なじみのお店のなじみの商品の値段が10%あがっていたとしたら、その原因がお店特有であるとはなかなか考えにくいです。
仮に輸入や生産などの関係で値上がりしたのであれば、他のお店でも同様に値上がりします。
そういった状況でわざわざ他のお店で購入しようとはならないので、アンケート結果はごく自然な回答だと考えられます。
また、仮に値上がりが特定の店舗限定だったとしても、他店まで買いにいく時間がない人や周辺に別店舗がない人は、わざわざ交通費を払って他店まで買い物に行かないようにも考えられます。
つまり、置かれている環境や条件によって、このアンケート結果の意味が大きく変わってくると言えるのではないかと思います。
ですので、アンケートの回答結果が半数以上を占めている=物価上昇を許容している というふうにつなげてしまうのは少し危険だと思います。
また釈迦に説法かもしれないですがあえていうのであれば、公的な場での発言の前に原稿に書かれている内容を内部でチェックしていないのかとも感じます。(日銀はおそらくされていると思いますが)
この発言をしたら、国民がどう思うか、どう反応するかということは少し想像を働かせればわかることだと思うので、発言の前に一度冷静になり国民感情を理解した発言をしていただけるとこういった炎上問題は減っていくのではないかと思います。
肯定的な見方
一方で、ここからは少し肯定的な立場でも考えてみたいと思います。
アンケートの前提条件によって結果の解釈が異なると前章で記載しましたが、日銀総裁の方に一般人の生活のあり方を理解した上でアンケート結果をくみとって発言することを求めるというのははたして現実的なのかと言われると少し疑問に感じる部分もあります。
ご存じのとおり、日本銀行というのは日本で唯一の通貨発行権を持つ中央銀行です。
銀行とはついていますが、一般の人にお金を貸し出すのではなく、通貨の流通量や金融政策の運営といった非常にマクロな領域で活躍しており、日本国政府からも独立した法人です。
そういった機関のトップを務めてられている方に対して、一般人の消費者の買い物行動やその心理といったところを詳細に把握し、国民感情によりそった発言を公の場で期待するというのは少し酷なことだとも考えられます。
(もちろん、物価の許容をしているという発言は不適切であり事前のチェックで削除しておくべきだと思います)
ですので、アンケート結果から判断したロジックに多少違和感を感じますが、私たち自身もその発言をあまり重く受け止めずに、「行政機関のトップの方が代表として会見している」くらいに思っておくと、こういった発言に一喜一憂せずに過ごすことができるのではないかと思います。
いま私たちがすべきこと
ここまで黒田総裁の発言とそれに対する筆者の考えを記載させていただきました。
さらに話を広げてみると、いまの社会状況は新型コロナウイルス、ウクライナ戦争に続いて、急激な物価上昇の三重苦であり、私たち消費者を取り巻く環境としては非常に厳しい状況だと思います。
それぞれの内容について、
早く収まってほしい、なにか行動したい、なぜこんな大変な目にあうのか、といったように思うところはたくさんあると思います。
筆者も普段から社会課題に興味を持って考えるようにしているのですが、今の状況は深刻な問題だと考えています。
ただそういった状況に悲観して、思考停止したり自らの行動を止めてしまうことだけは避けたいと考えていますし、この記事を読んでいただいた方にもそうであってほしいと思っております。
大切なのはこの状況を自分ごととして考え、自分にできるところから行動していくことではないかと思います。
これは大きな行動をしてくださいということではありません、
(節度を守った上で)自分の考えをSNS上で発信する、少しで金額が安いスーパーに買い物にいく、ボランティアに参加するなど、自分で変えられる領域から手をつけて改善していくこと。
そして、一刻も早くこういったつらい状況が終わるように、常に状況を把握しつつ、ひとりでも多くの人が感情を乱さずに生活していけるような自分なりのアクションを起こしていくことができればよいのかなと考えています。
筆者自身も日用品や食材を購入しようとして「高い」と感じることがあります。コロナウィルスが治まりつつあってもいろいろな制限を課されることに不満を感じることもあります。
ただ、そういった状況に直面しても、「事態は必ずよい方向に向かう」、そのためにいまできることをする
というスタンスで毎日生活をしています。
普段であれば買う食材を買わずにより安価な商品で満足できないか、生活費用の中でカットできるコストはないか、仕事で給与アップする方法はないかなど、自分の行動で変えていける部分は必ずあると思います。
大変な状況ですが、悪いことだけでなく良いことに目を向け、自身の行動を変えることでより多くの人が良い生活を過ごすことができればと思います。
おわりに
本日は日銀総裁の発言の意図を考えるというテーマで記事を書かせていただきました。
今回に事象は人によって賛否両論あるかと思いますが、自分の考えに固執するのではなく複数の意見を聞いて考え方の幅を広げていくことが、個人が豊かな生活を送る一つの方法だと思います。
もちろん、許せないことや今回お発言のように国民感情に反することもたくさんありますので、自分はこう考えるという意見や芯を持つことは大切だと思います。
そういった考えをもった上で、自分自身はどうするのか、国や政府にはどのような行動を期待するのかということを考えた上で、今後のアクションにつなげていけたらと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
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