ネットの世界からこんにちは。むぎです。
参院選も終わり、政治についてひと段落したように感じられるこの頃ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
耳を疑うような事件も起きたり、様々な商品の物価があがったり、今後の日本の在り方を真剣に考える必要があると感じていらっしゃる方も多いかと思います。
筆者も、これまで以上の身の回りの生活だけでなく、社会課題に注力していきたいと考えるようになりました。
そこで本日は愛媛県の松山市役所で発表された職員の”身だしなみモデル”について取り上げたいと思います。少しローカルな話ではありますが、ジェンダーやダイバーシティに関する問題も含んだ内容になりますので、ぜひ読んでいただけたらと思います。
松山市役所の”身だしなみモデル”について
まずは本記事の対象となっている松山市職員の”身だしなみモデル”の内容について、軽く触れたいと思います。
松山市役所人事課の入り口前に貼られた職員の”身だしなみモデル”という張り紙が問題のはじまりです。
身だしなみモデルの内容(抜粋)
- 髪を意図的に染めることは不可
- 白髪染めを使う場合は地毛の色のも
- ミニスカートは不可
- マニキュアは透明または透明に近い色
- 結婚指輪以外の装飾品は身につけない
参考:TBS NEWS DIG (https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/88850)
(張り紙の写真を手に入れることができないので、ご興味がある方はググっていただければと思います)
いかがでしょうか。パッと見ただけで疑問や違和感を持つ方も多いのではないかと思います。
見出しなみモデルということで、他人に不快感を与えないように内容を設定されたのだとは思います。
それにしてもいかにも炎上しそうな内容になっているなという感じがします。
どういう背景で設定されたのか、自分の職場と比べてみてどうかなど、いろいろな考え方ができると思います。
次章からは肯定的な見方と否定的な見方のそれぞれで考えていきたいと思います。
肯定的な見方
まずは松山市役所の”身だしなみモデル”を肯定的に捉えてみたいと思います。
良いポイントとして、市として職員に対して「服装のモデルケースを提供する」ということが挙げられます。
というのも、仕事をしていると出勤時の服装に悩み、無駄に時間を費やしてしまうということを聞きます。コーディネートを考えるのが好きであれば問題ないですが、そうでない方にとっては「服装自由」というのはストレスにもつながります。
そういったときに、職場で制服があったり、服装のモデルケースを作ることによって、服装で悩まれている方を助けることにつながるのではないかと思います。
また、市の職員というのは公務員ですので、住民からの苦情など、揉め事をできるだけ起こさないようにしたいという気持ちもあるのではないかと思います。
行政サービスを提供する際に、お客さんに不快感を与えてしまい、クレームなどの問い合わせ対応をしなければいけない状況になるのは、印象的にもサービス的にも避けたほうがいいです。
これらのことを加味して、今回の”身だしなみモデル”は「住民との間でより問題が起きにくい」ような内容になっているのではないかと思われます。
ある程度自由を制限するものの、余計な揉め事を起こさずに職員としての業務を遂行してもらいたいという意図の元で”身だしなみモデル”が作られているということではないかと推測できます。
結果的には働いている職員さんを守ることにもつながるため、自治体としてこういったモデル内容を設定することは理解できるかと思います。
否定的な見方
次に”身だしなみモデル”を否定的に捉えてみます。
まず、設定された内容の詳細がD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を配慮していないように感じらます。
特に顕著なのが、「髪を意図的に染めることは不可」と「結婚指輪以外の装飾品は身につけない」という部分です。
髪色についていえば、なぜ地毛の色でなければいけないのかといった理由が示されていません。
日本人の大半が黒髪なので、黒髪であれば相手に不快感を与えないということだと推測してみますが、もともと髪色が明るい人やハーフなどで髪色が黒色でない人の場合にはどうなるのでしょうか。
令和4年度の松山市職員採用試験実施要領を見る限り、日本人国籍を持っていれば受験資格はあるようですので、日本人=黒髪であるという先入観をもとに設計されているように感じます。
今後、日本人口が減り、海外からの移民の方などが働くことになることも考慮すると、今回のモデルの内容は多様性の面から考えると問題が多いのではないかと思います。
もし黒色以外にすることによって問題が起きるということを懸念しているだとすれば、根本解決にはならなりませんが、髪色に制限を設けるという方法があります。個人的にはどうかと思いますが、「ヘアカラーチャートの色味とレベルのうち、XX以下を推奨」といったようにするほうがまだよいかと思いますので、できるたけ生まれ持っている容姿に制限をかけるということはしないようにしたほうがよいのではないかと思います。
また装飾品に関しても、なぜ結婚指輪だけがOKなのかの理由がまったくわからないことも問題です。 感覚的な話にはなってしまいますが、仮に職員の方がネックレス等をつけていたとしても、不快感を感じる人は少ないのではないかと思います。
さすがにチェーンのようなジャラジャラしたものの場合は不適切ですが、華奢なネックレスやシンプルなものであれば問題ないのではないかと思います。
また婚約指輪や親族の形見といったように「個人が大切にしたい」という価値観でアクセサリーをつけている方もいらっしゃるかと思います。
このように色々な考えや価値観を持つ人がいる中で、市の職員だからという理由で厳密な制限をかける今回の”身だしなみモデル”は多くの改善の余地があるといえるでしょう。
身だしなみモデルはどのように変えればよいか
ここからはより多くに職員、住民が快適に過ごせるような行政にしていくために、”身だしなみモデル”の改善方針について考えていきたいと思います。
肯定的な見方の部分でも書かせていただいたとおり、職員に対してモデルを提示するという行為自体はよいと思います。ですので、今回のモデルをよりよくするために松山市として、考えるべき方針をあげていきたいと思います。
最初に筆者が考える方針としては、以下の3つだと思います。
- 松山市としてどのような自治体を目指すのかを明らかにする
- モデルを設定する上で、幅広い層から考えを募る
- 寄せられた意見が「誰の目線」なのかを考え、内容のバランスをとる
まずひとつめとして「市としてどのような自体体にしていきたいのか、そこで働く職員にどうあってほしいのか」ということを明らかにするのが一番大切なことだと思います。
一般的に、顧客にサービスを提供する場合においては、顧客側からの声が通りやすくなってしまう傾向があります。特に自治体の場合は、住民の収める税金で成り立っている部分も多いかと思うので、この傾向は余計に強いと推測できます。
ただ、そういった声に二つ返事で対応していると、サービス提供側の立場が苦しくなってしまうのが問題であり、今回の”身だしなみモデル”も住民からのクレーム等の影響を受けていると感がられます。
ですので、サービスを受ける側と提供する側の双方にとって良い結果になることを目指すことが大切だと思います。
そのために、市として、「今後どういった自治体にしていきたいのか」というグランドデザインを決め、
そのために住民および職員はどのような行動をすればよいのかということを基底に考えていくことでよりよい制度を設定することができるのではないかと思います。
その上で、二つ目の「幅広い層からの意見を募ること」、三つ目の「だれの意見なのかを判断してバランスをとる」という方針に従うことで、サービスの提供者と受給者の考えのバランスを取ることができるようになります。
今回のモデルにおいても、ジェンダーや多様性といった観点が少し不足しているように個人的には感じられました。
時代の潮流として、現代はプライベート、仕事問わず、多様性を認めて一人ひとりが生き生きと行動できる文化にしていくことが重要視されており、今後もこういった流れは広がっていくのではないかと考えられます。
そういった中で、ある特定層の意見だけが抽出され制度に反映されたり、全体のバランスが不整合なモデルといったものはあまりふさわしくありません。
今回のモデルの制定についても、どのようなプロセスで行われたのか詳細についてはわからないもの、複数の年代や性別の視点でチェックが行われているのか怪しいと感じる内容がたくさん含まれています。
なので、サービスを受ける側の意見だけでなく、実際に現場で働いている職員の意見を取り込むこと。
それに加えて、意見を表明していないサイレント層の考え、これから職員を目指す若年層の考えなど、さ様々な意見を集めた上で、制度を考えていくことが必要ではないでしょうか。
松山市役所で今回発表された”身だしなみモデル”に幅広い意見が取り込まれ、多くの人にとってよりよいモデルにブラッシュアップされていくことを期待したいと思います。
おわりに
本日は松山市職員の”身だしなみモデル”について、筆者の考えをご紹介させていただきました。
あらためて内容を見てみると、やはり違和感を感じる部分は多くあります。ただ裏を返せば、これから良い良いものに変えることができるということです。現在は梶原市議が本モデルの見直しを申し出ているようですので、ぜひ再考していただき、より多くに人が過ごしやすいモデルになればと思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
コメント
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